INTERVIEW

株式会社ネモフィラ様 導入インタビュー

“自社SaaSの機能向上を迅速に実現する、サーチテクノロジーの専門パートナー”

MARS Platformは、クローラーAPIを始め、データ連携API、検索API、サジェストAPIなどMARS FLAGのテクノロジーを包括的に活用できるクラウドサービス。自社でのシステム開発が不要になるため、迅速かつ簡単にサイト構築が実現可能となります。今回はクローラーAPIを利用されている株式会社ネモフィラ(以下、ネモフィラ社)の代表取締役社長兼執行役員CEO島谷豊さん(以下、島谷さん)にお話を伺いました。

検証工数の肥大化と品質の平準化への課題が始まり

ネモフィラ社の事業概要を教えてください。

弊社では、Webインテグレーション事業・オンサイト事業・プロモーション事業・SaaS事業の4つの事業を展開しています。売上の主力となっているWebインテグレーション事業では、Webサイトの制作やシステム開発、ECサイトの制作などを受託開発しています。受託開発を行っていると、システム内で個人情報や機微なデータを扱うこともあるため、受注先の企業に常駐して欲しい、というニーズから生まれたのがオンサイト事業。

プロモーション事業はインターネット広告を中心に、エンドユーザーの集客を行っています。

そして2021年1月にリリースしたSaaS事業が、UIの自動検証ツール「ISSO」。自社開発・販売を行っており、これから伸ばしていきたいサービスとなっています。今回、MARS Platformを導入したのも「ISSO」です。

MARS Platformを導入したUIの自動検証ツール「ISSO」について教えてください。

UIの自動検証ツール「ISSO」は、Webインテグレーション事業でずっと課題に感じていた、検証工数の多さと品質平準化の難しさを解消するために生まれたサービスなんです。

Web制作では納品間際の忙しいタイミングに検証が発生します。1,000〜2,000ページの大型な案件の場合、チームメンバー総出で単調な検証作業をひたすら繰り返さなければいけません。納品間際で稼働時間が多いタイミングに、地味で単調かつ膨大な検証作業は、メンバーのモチベーション低下に繋がってしまいます。さらに、検証自体に漏れが出るという矛盾が出てくることも。

品質を平準化しながら、検証工数を減らしたい。そこで、自社用ツールとして自動検証ツールの開発を始めました。

自社用に開発したサービス「ISSO」でしたが、実際に品質が平準化できたとともに、検証工数を減らすことができました。そこで、我々と同じような事業形態を行っている会社や、そういう会社に発注されている会社であれば同じニーズを持っているのではないか、ということでサービス販売することとなりました。

ISSOを利用している顧客は具体的にどんな業態の会社が多いでしょうか?

我々のようなWeb制作会社や、数百人規模の制作体制及びディレクターがいて、更にパートナーさんに発注をされている、いわゆる代理店的な位置付けに近い会社が多いですね。

MARS Platform導入に至った経緯を教えてください。

UIの検証を行うためには、まずサイト構造をチェックするためにクロールを行い、クロールでヒットしたページをそれぞれチェックしていきます。ソースコードやSEO対策、ページの表示速度、老若男女が使いやすいかどうかをチェックするアクセシビリティ、表示崩れのチェックなど。

これらを行うには、まずクロールが必要です。我々は当初、クロールする仕組み自体を開発していました。しかしISSOをサービスリリースした後で、お客様から「検証できないサイトがある」とご指摘をいただいたんです。

どういうサイトかというと、シングルページアプリケーション(SPA)と言われるサイトの作り方をされている物ですね。Webで表現できることの幅が広がったり、動作性の向上が見込めたりするため、最近この手法で構築されたWebサイトが増えつつあります。そのページの作り方をされている場合、我々が開発したクローラーでは1つのページとして認識してしまい、その配下に多数のページがあることが認識できない。つまり、正常にクロールができないという課題があることが分かったんです。

自社開発での課題から、MARS Platformの採用に至った理由は何ですか?

自社で試行錯誤していく中で、シングルページアプリケーション以外にも、今後クロールに関する課題は出てくるだろうなと感じました。というのも、今我々がクロールする範囲はCSSなどを中心としているのですが、将来はファイルの種類を拡張したいと考えています。

例えば、PHPで出来たファイルや、PDFにも拡張していきたいと思ったときに、自社でクロールを定常的に開発していくというのは、結構難易度が高いんじゃないかなと思いました。

サイトによって作り方は千差万別なので、その都度クロールの仕組みを更新していく必要がある。クロールが会社のメイン事業なら良いのですが、そうではないので、クロールの開発をし続けるのは現実的ではないのかなと感じ始めました。

MARS FINDERのクロール機能への信頼から、BaaS利用を相談

MARS Platformを知ったきっかけとは?

元々MARS FINDERのサービス導入案件でパートナーシップを組ませていただいており、MARS FLAGさんのことは認識しておりました。MARS FLAGさんはサイト内検索サービスを提供しているので、クロールが得意だろうと思い、弊社の課題を相談をさせていただいたんです。

そうしたら、MARS PlatformでクローラーだけをAPIで販売し始めたと聞き、ISSOに使えるのではと導入を検討し始めました。

欧米系など外資のクローラー提供サービスは検討されたのでしょうか?

厳密には、検討はしていないです。頭の中では候補として考えたのですが、我々がお客様としているのは日本のお客様で、文字の表記揺れがないかどうかをチェックするには日本語の理解ができるクローラーが必要だと考えていました。そのため、日本語がクロールできることが必須条件だったんです。

国内では他のクローラー提供サービスを検討されましたか?

サイト内検索の機能を提供されているSaaSベンダーであれば、やはりクロール機能は当然持っているので、できるのではないかと思って調べたところはあったと思います。しかし、クローラー単体でのBaaS提供を実施しているサービスは他に見当たりませんでした。

MARS Platformに決めた決め手は何だったのでしょうか?

元々我々はMARS FINDERの機能や仕組み、精度に対して非常に信頼性がありました。日本語のクロールがしっかりと出来るという条件も満たしていた。また、クローラー機能単体で提供できるBaaSというのはなかなか見たことがなかったので、必然的にお声掛けさせて頂いたという背景です。

他社のサービスでは、クローラー機能単体のBaaS利用が出来なかったのでしょうか?

そうなんですよ。例えば、もちろん検索といえばGoogleなので、Googleも調べたんです。検査結果は返してくれるんですけれど、僕らが欲しいのは検索結果の順位とかそういうことではなくて、あくまでファイルの仕組みとか、クローラーの結果であって、キーワードの検索結果が欲しいわけではなかった。あくまで、サーバー内をクロールする仕組みという機能。それだけを利用できるMARS Platformはとても魅力的でした。

PoC期間にエンジニア同士で詳細を確認、懸念事項を解消した上で導入へ

MARS Platform導入にあたって不安に感じていた部分や、懸念されていた部分はありますか?

2つあります。まず1つが、どれくらい我々の求めているものと近いもの、仕様になっているかということですね。我々の欲しい部分が提供されるのかは、不安でした。

2つ目はコスト面。クローラー機能単体でのサービス提供を依頼するということが初めてだったので、どのくらいの費用感なのかというのがわかりません。我々が自社で作ったクローラーでサーバー負荷やコストがどれくらいかかるかはわかっていますが、それは本当の原価であり、ビジネスプランとして提供されるクロールとしてどれくらいになるかという予想が出来なかった。そこでコスト感が合わなければ、我々がエンドユーザーに提供しているサービスの一部の原価が上がりすぎてしまい、導入が難しくなってしまうため、懸念事項となっていました。

ネモフィラ社 島谷豊社長(右) と 当社 武井雄二郎取締役(左)
その2つは解消され、MARS Platform導入に至ったということでしょうか?

そうですね、そういうことです。

1つ目の求める機能との整合性に関しては、まずPoC期間を設けて頂きました。いきなり導入するかしないかを判断するのではなく、MARS Platformを導入することでどういう精度が上がるのか、どのような結果が返ってくるのか、我々のシステムとどう繋ぎ込めるのかを実験できた。導入前に確かめられたので、非常に有り難かったです。PoCでの結果が期待値を超えていた上に、コストも我々が期待していたコスト感とマッチしていた。そのため、納得感を持って導入を決めることができました。

PoC期間の中では具体的にどのような部分を確認されましたか?

まずは、クロールした結果をどういう形式で返してくるかというところに関して、確認をしました。注文通りの仕様だったため、とてもスムーズに確認が進みました。

クローラーはクロールする対象サイト側の都合で止まってしまうこともあるため、止まってしまうのをどう防ぐかという観点もありました。検証中にサービスの都合上、検証を中止したいというお客様がいたときに、クロールも同時に中止しないといけない。そういった場合にこちらからのリクエストをどう受け止めてもらうかも、確認事項だったと認識しています。

こういった細かい部分はMARS FLAGさんのエンジニアと、弊社のエンジニアが直接会話をしながら詰めていくことができました。弊社のエンジニアはベトナム人のオフショアのメンバーですが、スムーズにやりとりしていただくことが出来ました。

サーチテクノロジー専門のパートナー・MARS FLAG

MARS Platform導入後、社内ではどのように評価されていますか?

自社でクロールを今後開発していく限界を感じていた時だったので、MARS Platformにお願い出来てよかったねと、部署の開発チームはみんな口を揃えて言っていますね。PoC期間に様々な相談に乗っていただいたことで、今後もクロール部分に関する相談ができるパートナーだと期待しています。クローラーの専門家のパートナーが出来た、という感覚です。

我々は最終的にお客様に1つのSaaSサービスとして提供するわけですが、その機能はそれぞれ専門性が高い方が良いと考えています。しかしそれら全てを自社開発していたらキリがありません。クローラーの専門性が高いMARS FLAGさんとパートナーになることで、クローラー機能はどんどん進化していけます。SaaSは常に進化していくサービスであるべきだと思うので今後も我々と共にブラッシュアップしていって頂きたいですね。

これから顧客への導入をするにあたり、どのような効果を期待されていますか?

今までは先ほどお話ししたシングルページアプリケーションの検証ができなかったので、MARS Platform導入によって検証が可能になり、今導入して頂いているお客様の満足度が上がることを期待しています。シングルページアプリケーションのサイトを制作している新規顧客の拡大にも寄与してくれると思います。

今後の事業展開についても教えてください。

今後はSaaS事業を伸ばして行きたいと考えています。SaaS事業もISSO一本だけでなく、他のサービスも作っていきたいですね。他サービスもISSO同様に、インテグレーション事業に携わっている中で工数を減らしたいなと思っている箇所や、効率化したいと感じた部分に関連するサービスを作っていくのがいいかなと思っています。

ユーザーインターフェースの検証からスタートしましたが、次に考えているのは、Webサイトの運用の実務に関わる部分。Webサイトの更新履歴をクロールして、管理やチェックができるサービスを作りたいと考えています。

その他にも、購入画像のチェック機能や著作権管理など、Web制作や広告を現場で運用しているからこそリスクを感じる箇所をケアできるサービスを作っていきたいですね。

エンジニアの開発自由度を上げてくれるMARS Platform

今後の御社の成長に向けて、MARS FLAGに期待していることがあれば教えてください。

まずはISSOの機能を拡充して行きたいという中で、クロールの精度の向上に期待をしています。日本語の理解度や、使ってはいけないキーワードの管理、商品名や細かい変更点の抜け漏れチェック、PDFデータのチェックなど。金融機関や保険会社、不動産業などは細かい金額の変更や大量の更新などもあり、万が一変更漏れが発生した場合はエンドユーザーからの信頼を左右します。徹底したサイト管理を精度高くやっていくためには、クロールの進化が欠かせないと思います。

最後にMARS Platformの導入を迷われている企業様に向けて、メッセージをお願いします。

SaaSを運用しているエンジニアからすると、MARS Platformはメリットが大きいと思っています。弊社でも、実際にエンジニアチームが自由度が高いとか、返していただける結果を見てこういうふうな使い方もできそうですね、みたいな話をしているのを聞いて、初めて導入のイメージが出来たんです。なので、エンジニアの開発自由度を上げたい企業に向いているのではないかと感じています。

また個人的には、EC事業を展開している企業とはかなり相性がいいんじゃないかなと。ECにおいて、サイト内検索は相当重要ですし、購入履歴やシーズン情報と併せたレコメンドエンジンもセットで重要になってきますよね。そこまで精度を高めるには、クロールの仕組みや設定の自由度が必要になってくるので、精度高く柔軟に対応できるMARS Platformはおすすめだと思いますよ。

インタビュアー : 齋藤 優里花さん
株式会社ネモフィラ

Webインテグレーション事業・オンサイト事業・プロモーション事業・SaaS事業の4つの事業を展開。2007年の創業からWebインテグレーション領域において大手企業を中心に事業を拡大。2021年から初の自社サービスである「ISSO」提供開始。Webインテグレーションにおける課題を解決するサービスを今後も開発中。

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