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コーポレートサイトを全て静的ページで
餅は餅屋戦略
- 更新 2024.09.04 公開 2024.06.13
コーポレートサイトやブランドサイトのセキュリティ、どこまで担保されてますか?
Webサイトを設置している環境のOSやミドルウェアをバージョンアップするとき、どれくらい表示確認や動作確認に時間を掛けていますか?
コーポレートサイトに問い合わせフォームや資料請求窓口を設置して個人情報を収集していると、セキュリティ対策にとても気を遣います。また、コーポレートサイトのコンテンツ増加に伴い、リンクだけで辿り着けるページ数には限界があり、一覧表示や検索機能など、サーバサイドでのプログラム(CGI)による動的なページを設置しているコーポレートサイトも多いと思います。そうなると、セキュリティ面だけではなく、コーポレートサイトを設置している環境のOSやミドルウェアへの依存による作業が発生します。
当社では、コーポレートサイトに、サーバサイドでのプログラムによる動的なページは、一切、設置していません。個人情報も、コーポレートサイトのサーバには、一切、保持していません。こうなると、セキュリティ対策に関して、さらに、設置環境のOSやミドルウェアへの依存に関して、とても身軽になります。それらをどのように実現しているか、当社のコーポレートサイトの取り組みを解説します。
- この記事でお伝えしたいこと
- コーポレートサイトが担うこと
- コーポレートサイトのセキュリティをいかに担保するか
- SaaSやツールを利用して身軽になる選択
この記事では、コーポレートサイトを運用するにあたり、Webマスターが本当に注力すべきことに重心を置くために、いかにセキュリティに関する業務負担、精神負担を軽減し、さらには、環境依存に縛られず身軽になるか、その方法を分かりやすく解説します。
コーポレートサイトの役割
まずは、コーポレートサイトの役割について、今一度、整理しましょう。
1番の目的は、企業を認知してもらうことだと考えられますが、その認知のされかたはとても重要です。つまり、コーポレートブランディングは、当然、よいイメージを持ってもらうことが大前提で、信頼できる企業であることをメッセージアウトしていく必要があります。
次に、企業が取り扱う商品やサービスの認知度を上げることを目的とする企業は多いと思います。取り扱う商品やサービスの紹介ページを設置し、さらに、FAQや問い合わせフォームを設置して、商品やサービスに対する問い合わせ窓口を用意したり、カスタマーサポートの窓口を設置する企業も多いのではないでしょうか。商品やサービスの認知から、さらに先のリード獲得、さらにその先のサポートへの流れとなります。
この2つを基礎とし、コーポレートブランディングとして、広報、IR、人材採用、さらに、商品やサービス面では、商品(サービス)紹介、問い合わせや資料請求、申し込み、へとゴールが細分化していきます。
つまり、コーポレートサイトは、情報を発信すること、そして、訪れたユーザに的確に情報を伝えること、さらに、優れたユーザ体験によりブランディングに繋げることが、大きな役割となります。
3種の神器
コーポレートサイトの役割から、Webマスターが注力すべきことの大枠が見えたところで、それらに注力するために、自分たちで作り上げるものと、外部ツールを活用し身軽になるものとに切り分け、本当に注力すべきことに重心を置くことが必要になります。本当に注力すべきこととは、ゴールに向けたコンテンツの拡充と、ゴールへの導線の構築になります。では、身軽になれるものは何でしょう?
複数の企業のWebマスターの方々からお伺いした話ですが、コーポレートサイトを運用するにあたり、最低限必要な機能があり、それらを「3種の神器」と呼んでいるそうです。しかも、それらは、外部のツールやSaaSを活用しています。当社でもこれらを全て活用し、それらの必要性を痛感しているので、ご紹介します。
CMS
Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)のことで、コーポレートサイトのページの制作やデザインなどの必要な機能がパッケージとなっているシステムです。ページのヘッダーやフッターなど各ページの共通部分を自動で補完したり、ソースコードを書かなくてもページの構成やデザインを調整できたりします。また、ユーザ管理もでき、複数の作業者が同時に作業できたり、承認フローがあるCMSもあります。有名なものとしては、WordPressやMovable Type、Drupalなどがあり、多くの企業で利用されていると思います。当社は、厳密にはCMSの分類には入らないですが、DreamweaverをCMSのように活用しています。
ログ解析ツール
コーポレートサイトがどれだけのパフォーマンスを発揮しているかを解析するツールです。Google Analytics(俗に言うGA)やAdobe Analytics(旧SiteCatalyst)を利用する企業が多いのではないでしょうか。
当社でもGoogle Analyticsを導入していますが、それ以外に、Zoho SalesIQも併せて導入しており、コーポレートサイトのパフォーマンスを測るときはGoogle Analyticsを、任意の訪問者の行動履歴を追い掛けるときにはZoho SalesIQを活用しています。
サイト内検索
コーポレートサイトからの情報発信が増えるにつれ、サイト上に掲載するコンテンツも増加し、リンクを辿るだけでは探している情報に到達しづらい規模のコーポレートサイトにとっては、今では、サイト内検索は必須のツールとなっています。おおよその感覚になりますが、コーポレートサイトのページ数が50ページを超えると、リンクの調整に気を遣わないといけなくなり始め、100ページを超えると何かしらの施策を検討しないと訪問者は探している情報に到達しづらくなり、200ページを超えるとサイト内検索の設置はマストと考える企業が多い気がします。もちろん、コーポレートサイトへの訪問者のユーザ体験を最優先に考え、50ページに満たない規模のコーポレートサイトであってもサイト内検索を設置する企業も多々あります。また、コーポレートサイトだけではなく、ブランドサイトや、子会社や関連会社が各々コーポレートサイトを運用している場合、各サイトのページ数が少なくても、統一して設置するケースもあります。
サイト内検索の選定は、無料、有料で大きく別れ、無料のサイト内検索サービスで有名なものは、Googleカスタム検索や、各CMSのサイト内検索ツールが挙げられますが、新しく作成したページがいつから検索対象になるのか、検索精度のよしあし、キーワード検索だけではなく絞り込みやサジェスト機能などの検索方法の有無や精度など、どこまで無料のサービスでよしとするかが、選定の1つの線引きになるのかと思います。そのため、当社が提供するサイト内検索 MARS FINDERのような有料のサイト内検索サービスをご利用いただくことが多く、今では、それなりの規模のコーポレートサイトのほとんどが、有料のサイト内検索サービスを導入している状況です。また、コーポレートサイトで使用しているCMSにサイト内検索ツールがあるのに、当社が提供するMARS FINDERをご利用いただいているケースがとても多いことから、多くのコーポレートサイトにおいて、サイト内検索でのユーザ体験を重要視する傾向にあるのかと思われます。
これら3種類のツールは、コーポレートサイトを運用するにあたり最低限必要な機能ですが、コーポレートサイトの役割のゴールの1つに、リード獲得や問い合わせを掲げている場合、個人情報に対するセキュリティの懸念が発生します。
個人情報の保持を放棄
コーポレートサイトに問い合わせフォームやメールマガジン購読の受け付けフォームを設置する企業は多いと思います。むしろ、コーポレートサイトの役割の1つとして、マーケティングのコンバージョンとして重要視している企業のほうが多いのではないでしょうか。しかし、取得した個人情報を、コーポレートサイトを設置しているサーバに保持すると、セキュリティ面でとても気を遣います。また、コーポレートサイトを設置しているサーバで使用しているOSやミドルウェアでセキュリティホールが見つかり、慌ててOSやミドルウェアのバージョンアップを実施し、その後の動作確認で、1日、2日、ひどければ1週間、他の業務を止めて、てんやわんや、なんてことも多いと思います。そこで、当社では、餅は餅屋戦略で、SaaS(Software as a Service)を活用しています。コーポレートサイトに問い合わせフォームは設置しますが、取得した個人情報は、すべて、Zoho CRMに投下し、コーポレートサイトを設置している環境には一切の個人情報を保持しない仕組みをとっています。さらに、この仕組みには大きな利点があり、当社ではZoho CRMにて顧客情報や請求情報を管理しているのですが、問い合わせフォームから取得した情報も直にZoho CRMにデータ投入されるため、データの一元管理を実現しています。問い合わせ情報をわざわざCRMに移し直す時差と手間をなくしています。
ここで気を付けていただきたいことは、個人情報や大切なデータの管理を蔑ろにしたり、管理を放棄しているということでは決してないということです。自社で運用するWebサーバで管理するより、よりセキュリティ対策がしっかりしていて、有事の際の対応が早く、より安全なサービスで管理しているということです。
Webマスターとしての主業務ではない業務に対してここまで身軽になると、インフラ関連からの解放も目指したくなります。
JavaScriptの活用
問い合わせフォームの入力内容チェック(バリデーション)にサーバサイドのプログラムを使用すると、どうしても、OSやミドルウェアのバージョンアップの際の動作確認に時間と労力を割かれるため、当社では、サーバサイドのプログラムではなく、JavaScriptにより、問い合わせフォームの入力内容チェックを実施しています。これにより、上述したCRMの活用と合わせて、問い合わせフォームの静的ページ化、セキュリティ対策の軽減、設置環境に依存する作業からの解放を実現しています。
また、コーポレートサイトにニュースを設置している企業は多いと思いますが、ニュース記事の一覧表示や、次の記事へ、前の記事へ、のNext/Prevリンクなどを、サーバサイドのプログラムにて実現しているコーポレートサイトも多いと思いますが、当社では、これらもJavaScriptにて実現しています。これらにより、完全にサーバサイドのプログラムを廃止し、コーポレートサイトを設置しているサーバのOSやミドルウェアの変更やバージョンアップによる影響を少なくすることに成功しました。
ここまでで、すでにお気付きかもしれませんが、コーポレートサイトを設置しているサーバに個人情報を保持せず、データベースも持たず、サーバサイドのプログラムも設置しなければ、コーポレートサイトを運用するインフラ環境は、大幅に軽いものを指定できるようになります。
クラウドの活用
コーポレートサイトを設置する環境を選定することはとても難しい作業だと思います。セキュリティ対策を重要視し専用サーバを維持するのか、共用サーバで安価に抑えるのか、それともクラウド環境を選択するのか、その選定には、まず、コーポレートサイトへのアクセス数や、設置しているファイルや画像のサイズ、稼働しているプログラム、保持するデータの内容と量を洗い出して...と、かなりヘビーな作業が待ち受けています。もちろん、アクセス数が増えたから、保持するデータの種類が変更になったから、と、新しい環境を再度選定するときも同様です。しかし、当社のコーポレートサイトは、全て静的ページで、サーバサイドのプログラムはなく、データベースも不要で、個人情報を含め保持するデータはありません。つまり、当社のコーポレートサイトを設置する環境は、アクセス数と設置するファイルや画像のサイズだけで選定できます。さらに、サーバサイドのプログラムがないので、極論、Webサーバやアプリケーションサーバでなくても構わないのです。そこで、当社では、AWSのAmazon S3(Amazon Simple Storage Service)を利用しています。ご存知の通り、Amazon S3は、スケーラビリティとセキュリティに優れたストレージサービスなので、運用で気を付けなければならないことの多くを担保してくれるだけではなく、さらに、料金も安く抑えられます。
おわりに
マーケティングに注力すべきWebマスターがコーポレートサイトを運用するために、セキュリティ対策やインフラ面による作業に追われることは、とても勿体無いと思います。Webマスターが本当に注力すべきことに重心を置くために、ツールやSaaSを活用し、いかに身軽になるかは大切なことだと思います。ただし、ツールやSaaSを選定するにあたり、必要な機能を満たせるのか、信頼性やコスト、運用のしやすさなど、確認するポイントは多くあります。また、この記事では触れませんでしたが、パーソナライズやABテストなど、実施したいことも増えると思います。高度なことを実施する場合は、なおさら、それぞれに特化したツールやSaaSを活用することが、よりよい場合があります。
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